1.「あれっ、なんか変」 からはじまった私の3ヶ月
「まさか自分が……」
昨年の12月の初旬から、階段を登るとき左足に違和感を感じました。
なんとなく左足が上がらない。
そんなわずかな症状が始まりでした。
やっぱり体に不調があるとそれが気になって気分もモヤモヤ。
1日の午後には腰が重くダルい。
こうなると私の悪いクセでいろいろしたくなるのです。
ネットで調べて坐骨神経痛に効くストレッチや体操など片っ端からやってみました。
ところがこれがいけなかったようです。
急な筋トレや無理なストレッチで筋肉が硬くなり
ますます足が上がらなくなりました。
足を上げて外に広げる外転ができない。
靴下を履くことができない。
しゃがんで落ちたものを拾うことができない。
長時間立っていられない。
今まで出来ていた日常の動作ができない。
股関節が硬く凝り固まって毎日違う痛みが起きる。
そこから3ヶ月。
今、私はようやくこの記事を書くことが出来ています。
つまり、痛みがだいぶ緩和されて不安がなくなってきたということ。
そして少し余裕が出来てきたので、今までの自分を振り返ってみました。
この3ヶ月間、私が経験したのは単なる痛みの緩和ではありません。
それは、これまでいかに自分の体を「雑」に扱い、
自分の心の声を「無視」してきたかを知る、
自分自身との対話の時間でもありました。
この記事では、ネットに溢れる
「1分で治るストレッチ」の類では語られない、
もっと泥臭く、しかし本質的な回復へのアプローチについて、
私個人の体験ですが参考にしていただければと思いました。
2. 間違いだらけだった初期のセルフケア
痛みが強い時、
人は誰しも「一刻も早くこの痛みから逃れたい」と焦ります。
私もそうでした。
「伸ばせば治る」という思い込み
最初、私は「筋肉が硬くなっているから痛いんだ。
なら、しっかりストレッチをして伸ばせばいい」と考え、
痛みをこらえながらグイグイと足を引っ張ったり、
腰を曲げたり回したりしていました。
しかし、これは大きな間違いでした。
神経が炎症を起こし、過敏になっている時に強いストレッチを行うことは、
火に油を注ぐようなものです。
伸ばせば伸ばすほど、神経は「これ以上壊されないように」と
防御反応でさらに硬くなり、痛みは増していきました。
「早い動き」が神経を逆なでする
また、当時は自分の「動きの速さ」にも無自覚でした。
• サッと立ち上がる
• 急いで階段を降りる
• パッと振り返る
これらの何気ない動作一つひとつが、
過敏になった神経にとっては無理な刺激になっていたのです。
この事実に気づくまでに、
私は1ヶ月以上の時間を費やしてしまいました。
3. 腰痛の正体「腸腰筋(ちょうようきん)」への気づき
坐骨神経痛のメカニズムを調べていく中で出会ったのが、
お腹の深層部にあるインナーマッスル「腸腰筋」でした。

腸腰筋とは何か?
腸腰筋は、上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉です。
背骨の腰あたりから始まり、
骨盤を通って太ももの付け根に付着しています。
私たちが歩く時、脚を持ち上げる時に欠かせない筋肉です。
この筋肉が硬く縮むと猫背になったり
高齢者に多いちょこちょこ歩きでつまずいたりします。
そして実は「座っている時」に最も大きなストレスがかかります。
なぜ座り仕事や運転が悪化に繋がるのか
座っている姿勢は、股関節が常に「屈曲」している状態です。
この時、腸腰筋はギュッと縮まったまま固まってしまいます。
腸腰筋が固まると、立ち上がった時に背骨を前方へ強く引っ張ってしまい、
腰の骨(腰椎)に過度な反りや圧迫を生じさせます。
これが坐骨神経を刺激し、あの忌々しい痛みを引き起こすのです。
4. 人生が変わる「車の前下がりシート」術
車を運転する機会が多い私にとって、
運転席はまさに「痛みの製造機」でした。
しかし、ある工夫をすることで、
運転が「苦行」から「リハビリ」へと変わりました。
車のシートは「お尻が沈む」ようにできている

市販の車のシートの多くは、安全面やホールド感のために、
お尻側が少し低く設計されています。
しかし、この「後ろ下がり」の傾斜こそが、腸腰筋を縮め、
骨盤を後ろに倒し(後傾)、腰を丸めさせる原因のようです。
バスタオル1枚の革命
そこで私が取り入れたのが、**「シートを物理的に前下がりにする」**という方法です。
1. バスタオルや薄手のクッションを用意します。
2. それを座面の「後ろ半分(お尻側)」だけに敷きます。
3. すると、座面がフラット、もしくはわずかに「前下がり」の傾斜になります。
これだけで、座った瞬間に骨盤がスッと立ちます。
骨盤が立つと、縮まっていた腸腰筋にゆとりができ、
背骨への負担が劇的に減ります。そして背中とシートの間に背骨が
S時カーブをキープできるように細長いクッションを充てます。
高価な医療用クッションを買う前に、
まずこのタオル1枚を試してほしい。
私の回復は、ここから加速しました。
バスタオルはロールケーキ上にしっかり巻いて
ゴムバンドや紐で留めて使用するとよいです。



タオルやクッションを丸めてシートに傾斜を作ったその上に
このクッションを乗せて使用しています。
5. 自律神経とメンタル:痛みは「心」で作られる
3ヶ月間の観察で気づいたもう一つの重要な事実。
それは、痛みが「気温」や「気分」に強く左右されるということでした。
寒暖差による自律神経の乱れ
季節の変わり目や、エアコンによる急激な温度変化。
また昨今の異常な気象状況。
これらの異常な気象状況は、
私たちの自律神経に想像以上のダメージを与えます。
自律神経が乱れると毛細血管が収縮し、
血流が悪化します。
血流が悪くなると、筋肉に十分な酸素が行き渡らず、
痛み物質が停滞します。
「今日はなんだか痛いな」と思う日は、
決まって気圧の変化や寒暖差が激しい日でした。
「不安」という最強の増幅器
そして何より恐ろしいのが「不安」です。
「このまま歩けなくなったらどうしよう」
「仕事に復帰できるのだろうか」
そんな不安を抱くと、脳内の扁桃体が興奮し、
痛みに対する感度が数倍に跳ね上がります。
本来なら「1」の刺激で済むものが、
不安によって「10」の激痛として脳に伝わってしまうそうです。
メンタルと腰痛は、決して切り離せない表裏一体の存在ということです。
不安の強い人は痛みが慢性化するというデータもあるようです。
6. 実践した「緩める」ための新習慣
私が取り入れたのは
「緩める」ということに特化した動きです。
股関節のゆらゆら:座った姿勢で足をパタパタ広げたり閉じたり。
腸腰筋と心を一緒に解き放つイメージです。
この動きは本当に私にはよかったです。
あくびがたくさん出て身体が温まり眠くなります。
これがきっかけで固まった腸腰筋が緩み始めました。
深い呼吸で脳を安心させる
痛みが走ると、人は反射的に呼吸を止めてしまいます。
しかし、呼吸が止まると体は「戦闘モード(交感神経優位)」になり、
筋肉はさらに硬直します。
深い呼吸: 鼻から吸って、口から細く長く吐く。
自律神経を副交感神経優位に切り替えます。
心の安定、不安の解消効果。
私は、痛みを感じた時こそ鼻から深く吸い、
口から細く長く吐くことを徹底しました。
呼吸を深めることは、脳に対して
「今は安全だよ、リラックスしていいんだよ」という
メッセージを送ることに他なりません。

全ての動作を「丁寧」にする
「動きすぎ」や「雑な動き」を卒業するため、
私は日常の全ての動作を、
これまでの0.7倍のスピードで行うようにしました。
• ゆっくりと椅子から立ち上がる
• 足の裏の感覚を確かめながら一歩を踏み出す
• 物を取る時は、腕だけでなく体全体で向かう
この「丁寧な動き」こそが、腸腰筋や腰回りの筋肉を過度な緊張から解放し、
穏やかに緩めていく最高のリハビリになりました。
7. 今も続く「夜の痛み」と「油断禁物」の教訓
3ヶ月経った今、日中の生活には支障がなくなりました。
しかし、完全復活というわけではありません。
夜、就寝時に疼く痛み
寝ている間は、意識的に体を動かすことができません。
同じ姿勢が続くことで、やはり神経が圧迫されるのか、
夜中や明け方に痛みで目が覚めることがあります。
改善方法として私がよかったのは
1、仰向けで痛む方の足の膝を立てて寝る。
2、掛け布団や掛け毛布を軽くする。
これだけでも眠りが確保できました。
それでも痛みで眠れない時はゆっくり深い呼吸をして
「これも回復のプロセス、
今日は自分を甘やかしてゆっくり寝よう」と、
心の負担を減らすようにしています。
油断が招く「ぶり返し」
少し調子が良くなると、「もう大丈夫だ」と
以前のような雑な動きや、無理なスケジュールに戻りたくなります。
しかし、そこには大きな落とし穴があります。
坐骨神経痛は、これまでの長年の「体の使い方のツケ」です。
3ヶ月で痛みが引いたからといって、
根本的な原因が消えたわけではありません。
今も、ふとした瞬間に「あ、危ない」と感じることがあります。
「今も油断は禁物」。
この言葉を毎日自分に言い聞かせ、
体を丁寧に扱うことを一生の習慣にしようと決めています。

8. まとめ
痛みは自分に何かを伝えようとしています。
「もう無理をしなくていいよ」
「もっと自分を大切に扱って」
そんな体からの切実な願いなのかもしれません。
そして、自分に対しての扱いが「雑」になっていないか、
自分に「無理」を強いていないか、
客観的に観察してみること。
いつか腰痛の権威と言われるお医者さんが
テレビで「腰痛は放っておいても勝手に治る」と言っていました。
医者がそういうのだからそういうものなのでしょう。
治るまでの間にどこに心が落ち着くのか。
それまでの間に自分のためにやることをやる。
車の座席にタオルを敷く。
ゆっくりと立ち上がる。
不安な気持ちを「そうだよね」と受け入れる。
そんな小さな一歩の積み重ねが、
実は一番大事なのかもしれません。
焦らず、じっくり、自分の体と向き合うことで
痛みが、少しずつ、
優しく溶けていくのだと思います。



コメント